業務内容

特集記事:「相続法改正」について

◎相続法が大改正されました。改正の注意すべき点についてこちらに解説します:

その1.相続登記をいつまでも放置しておけなくなった!早いもの勝ち!

いわゆる「相続させる遺言」の場合(遺産分割方法の指定-特定財産承継遺言)、従来、不動産取得者となる相続人は、登記なくして誰に対しても対抗できました。

被相続人が長男Aに「相続させる」とした遺言があった場合、二男Bが早々に、保存行為により、法定相続分、A2分の1、B2分の1の登記申請を了した後、Bが自己の持分2分の1を第三者Dに売却した場合、Aは登記なくしてDに対抗できましたが、改正後、Aは登記なくしてDに対抗できません。

平成3年のいわゆる香川判決(余談ですが、香川先生は、元法務省民事局長、最高裁判事でおられ、かつての登記実務家にとっては、ほぼ全員、先生の「不動産登記書式精義集」という膨大な書籍は、必携の書でありました。最後の刊行から30年ほど経過していますが、いまでも本書籍に立ち戻ります。)以来大きな改正となりました。

元々、遺産分割や遺贈は対抗要件(登記)が必要でしたが、今後はすべてに早々の登記手続きが必須となります。

その2.古い贈与が遺留分侵害額の対象外に!請求は金銭請求のみ!

特定の相続人に対してかなり古い贈与、例えば20年前に、被相続人の父から長男に対して1,000万円の贈与があったとします。今までは、旧法でいうところの「遺留分減殺請求」をする場合、この1,000万円は遺留分減殺請求算定の対象となりました。この場合、父の相続開始時、相続財産がほとんどない若しくは債務超過の場合、この長男が他の相続人から遺留分を請求されると、解決は容易ではなくなります。あまり古い贈与まで遺留分に算入すると法的安定性を損なうことになりますので、改正後は、相続人に対する贈与(婚姻若しくは養子縁組のため又は生計の資本として受けた贈与-特別受益-の額に限ります。)については相続開始前の10年間にしたものに限り遺留分に算定することとされました。

また、従来の遺留分減殺請求では、不動産や株式にこれが請求されると、金銭賠償を選択しないと不動産や株式が所有者と遺留分請求者とで共有になるという事態がおきましたが、改正後は「遺留分侵害額の請求」という金銭債権に一本化されました。

1. 相続登記・その他の不動産登記

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(1) 相続(通常の相続のこと)・遺贈(相続人以外の人への遺言によるもの)

I. 「遺産分割協議書と費用」

遺産分割協議による決定がいちばん多いケースですが、不動産の名義変更がある場合、司法書士に遺産分割協議書の作成から名義変更の登記まで依頼すると最も安く早く終わります。最初に行政書士の遺産分割協議書作成を依頼すると司法書士に直接依頼するのに比べて総費用が倍~数倍となってしまうのです。尚、相続税の申告が必要なほど財産がある場合は、税理士さんが相続税申告に沿った遺産分割協議案を作成してくれます。争いがあり弁護士さんが入るケースはごくまれです。

尚、不動産がない場合(登記などで法務局に関与することがない。)の遺産分割協議書は、インターネットにある文例で全く問題ありません。

II. 「早い解決方法の一つとして」

相続税はいくら?、申告は必要なの?将来の税金は?というように税金で最も有利な方法について多くの方の関心があるのが現実で、相続税の申告の必要な事案かそうでないかにかかわらず、税務アドバイスを税理士さんから受けると相続人当事者の理解・納得が早いと言えます。もちろん司法書士からの意見も聞いて決定することになります。

III. 「すぐにやることは?」

  1. 亡くなられた方の借金が多い、相続から完全に離脱したいという場合、家庭裁判所への相続放棄の審判申立が必要なので、すぐに手続が必要です。期間の経過や財産を消費したりすると相続を「承認」したものとみなされ、放棄できなくなるので、不明な場合は専門家にすぐ相談することです。
  2. 相続税申告が必要な場合(基礎控除額を超える相続財産がある場合)は、10か月以内に相続税申告が必要なので通帳の整理、残高証明書の取得、不動産の評価証明書等を取得して財産の明細を速やかに把握して、税務申告の準備に取りかかる(税務署、税理士などに相談)ことが必要となります。
  3. 遺言のうち自筆のものがあった場合、すぐに家庭裁判所への「自筆証書遺言検認審判の申立」が必要です。公正証書の遺言があったはずだが見つからないという場合は、最寄りの公証役場にて調査してもらうことが可能です。

IV. 「解決方法の種類」

遺言書があれば、それが優先しますので、遺言書に基づいて手続きを検討します。公正証書であれば問題があることはまれですが、自筆証書遺言の場合は、法務局にて登記が受理されないことが多いので事前に司法書士等に確認されることをお薦めします。

遺言書がない場合、遺産分割協議・相続分の譲渡・相続放棄などを検討します。相続人や親族の将来のことを考慮して最近利用が増えている民事信託を利用する場合、遺産の配分方法には、より注意が必要です。

(2) 贈与

I. 「最も簡易で効果のある相続対策」

通常は、居住用土地建物を単独所有している夫から妻へ2,000万円相当分(正確には2、110万円分)の所有権一部移転登記となります。おおよそ2分の1相当を贈与税がかからず贈与することができると考えるとわかりやすいでしょう。

いくつかの要件がありますが、注意すべき点は、贈与した翌年4月以降も引続き居住することなので、引っ越し・売買・離婚等が決まっている場合など適用がなくなることがあるので実行する前に、司法書士・税理士に十分確認することが必要です。

将来、売却することになった場合夫婦につき、大幅な控除があるので、その意味でも実行する価値はあります。

登記の際の登録免許税がやや高いのと不動産取得税がかかりますが、実行するデメリットはあまり考えられないので、検討の価値は十分あります。

※平成30年の民法相続編の改正で、配偶者贈与のメリットが増えたと解されます。簡単に言うと、相続時に配偶者贈与分を控除して相続分を計算しなくてよいので、配偶者の相続分が大幅に増えることが可能になります。さらに利用価値が上がるのではないでしょうか。

※相続税対策として実行した配偶者贈与ですが夫婦とも超高齢者となり、何れか若しくは夫婦ともに判断能力が不十分になる状況が起きて います。相続や売買などの行為が必要になった場合、これができない事態も起きて来ました。せっかく行った配偶者贈与ですが人生100年時代となり、成年後見制度の利用をせざるを得ない状況も考慮し、実行する前やした後でも家族信託を利用して高齢化対策(ご自宅の処分・管理方法、空き家対策等)を検討してみましょう。

II. 「祖父母または親から子・孫への生前贈与」

60歳以上の祖父母・親から20歳以上の子または孫へ、生前贈与をしたいという状況がある場合、2,500万円まで贈与税がかからず贈与ができるので、生前に子または孫へある不動産の全部または一部を確保しておきたい事由がある場合に利用価値があります。

将来の相続税の算定時に不利益になる場合があることと、この制度(相続時精算課税制度)を選択すると撤回は困難なので事前に税理士・司法書士に十分確認することが必要です。

(3) 財産分与(離婚による)

I. 「受理証明書交付直後の登記申請」

一般的に多いのは、居住用土地建物を単独所有または共有持分を有している夫から妻へ離婚成立後に妻名義に変更することですが、離婚届出が受理されると離婚が効力を生じることになるので、受理証明書の交付を受けた直後、瞬時に、登記申請することが最も安全です。

登記を放置している間に、夫が他に売買したり、第三者の差押えが入ったりすると取り戻すことが困難になることもありますので、受理証明書の交付直後に司法書士に申請してもらうことがベストです。売買の様な二重売買のリスクを考慮すべきです。

この一連の段取りは、司法書士に相談することがベストです。この点について、他の専門職(弁護士・税理士等)は、そう言ったリスクを理解していないことが多いので、注意が必要です。

もちろん困難な離婚には弁護士が関与し、過大な財産分与や譲渡所得税の判定には税理士の判断を仰ぎます。

II. 「必ず書面作成」

財産分与の対象財産に不動産がある場合、不動産登記法の規定で、必然的に書面を作成しないと登記申請ができません。したがって、公正証書でなくとも離婚協議書、登記原因証明情報等の文書を作成することになります。その場合、不動産の条項は必ず登記ができる様な文書にすることは当然のこととして、離婚時年金分割や慰謝料などの条項もきっちり記載しておきましょう。

公正証書が最もよいのですが、ほとんどの方が公正証書に消極です。その場合、私文書でもよいので、インターネットの文例を参考にしてもよいので、下書きしたものを専門職、(年金分割については)社会保険事務所等で確認してもらうことが必要です。

(4) 増築・二世帯住宅

I. 「増築・二世帯住宅への対応」

古くなった親名義の家を子供が増築・二世帯住宅とするケースの場合、子供が大金を払って増築等しても、その家は親の所有のままであるどころか、そのままだと子から親への贈与となります。

この場合、最も簡易なやり方は、増築等の工事前に、親から子へその建物を生前贈与することが妥当です。そうすると工事後の建物は全部、子の所有権となります。贈与税がかかりますが、評価額が低くなっているのが通例なので負担は少なくなります。

生前贈与を実行せずに、増築工事等が完了してしまった場合、そのままにしておくと膨大な贈与税がかかるので、早急に、増築の付加価値相当分を親から子へ「代物弁済」を原因として、所有権一部移転をしなくてはなりません。親の譲渡所得税の負担が出る可能性がありますが大きな負担にならないのが通例です。

以上、増築等の工事について、請負工事業者、建築士さんサイドは、増築後の権利関係(登記を含む)及び税金についてほとんど理解がないので、増築等の請負工事契約前に司法書士・税理士に相談することが妥当です。工事が完了したあと思わぬ不利益が生じることがあるので必ず相談しておくべきです。

(5) 数人名義から一人名義へ(共有から単独所有へ)

I. 「売買・贈与・代物弁済で一人名義に」

二人、三人名義になっている不動産が多くあります。多くは遺産配分時や購入時に複数名義になっています。売却してしまう場合は放置しても構いませんが、そうでない場合(例えば、誰か一人が継続して居住、再築等)一人名義にしておくことが重要です。

一人名義にするには、「売買」「贈与」「代物弁済」を利用します。お金の移動を利用するのであれば「売買」ですし、ただで「あげる、もらう」というのであれば贈与となります。当事者間で金銭の貸し借りや立替金がある場合、お金の返済の代わりに、不動産の共有持分で返済することができ、これは「代物弁済」となります。

何れを利用するにしても、税金の考慮が必須になるので、税理士・司法書士に確認をしないで実行すると多大な不利益を被ることになります。

II. 「各人の単独の所有権とする土地に分割」(「共有物分割」)

太郎と花子が200㎡の土地を各2分の1で所有している場合、これを分割して、東側の100㎡を太郎の単独所有、西側の100㎡を花子の単独所有とすることができます。「共有物分割」と言います。東側と西側で評価があまり変わらなければ課税の問題をクリアできます。

注意すべきは、分割後の土地に建築ができるか、道路に面しているか等です。更に、測量・分筆・持分移転登記など、とても大きな作業になり費用が大きくなります。この場合、土地家屋調査士、建築士、司法書士、場合により税理士の関与がないと実行は困難です。

III. 「共有問題解消のための民事信託」(「家族信託」)

不動産が3名、5名、10名、100名などと共有の場合の解決は困難ですが、民事信託を利用すると、容易に解決できる場合があります。

管理する人を一人に決めて、その一人の単独所有とする信託の登記をします。単独所有者となった者が、その不動産の管理・処分権限を持ちますが、その不動産に入ってくる賃料や売却代金は共有者全員に配分します。単独所有とする者を、一般社団法人等の法人とすることも可能です。ウルトラC的な方法で今後利用が増えて行くでしょう。

(6) 隣接者・親族間の売買

I. 不動産業者に依頼しなくても可能

隣近所の住宅や親族どおしの住宅の売買は、仲介業者に頼まなくても可能です。但し、境界、地積(土地の面積)の確定や修繕部分につきどのような売買契約書を作成したらよいかは注意が必要です。

境界確認や確定測量は当事者では不可能なので土地家屋調査士に依頼することになりますが、仲介業者に売買を依頼しても提携の土地家屋調査士に依頼することになります。

売買契約書は市販のもの、インターネット上のサンプルを利用しても構いませんが、特約等の特記事項は当事者で十分話し合いの上、明記しておくことが必要です。

尚、マンションの場合は、境界や測量という問題が想定されないので戸建てよりより簡易に当事者のみで売買を実行することが可能です。

以上、いずれの場合も契約書の作成や移転登記は、大きな財産の移動になり失敗はできないので、当事者間のみで実行するとしても、登記を含め不動産の法律や税金など一切の事情を考慮した対応のできる司法書士・弁護士への相談が必要です。

(7)マイホーム購入-究極の注意点

I. 売主がにせものでないこと!

究極的なことを言えば、売主が本物であり、売る意思が明確であれば、万が一欠陥住宅だったとしてもその物件(土地・建物)を取得できます。修繕請求や損害賠償もできる可能性はあります。契約解除も可能です。売買契約書にそこら辺は盛り込みます。(瑕疵担保責任や債務不履行責任、契約解除条項)

ところが、売主がにせものの場合、物件の取得ができないどころか支払った代金の回収は困難を極めます。更に、弁護士に解決を依頼することになり、弁護士費用も多額になります。

通常、マイホームの購入は一生に一度か二度でしょう。失敗すると最悪、財産のすべてを失うかもしれません。

売買に立ち合う司法書士がにせものの売主のまま売買による所有権移転登記を実行した場合、司法書士資格がなくなるどころか実刑ということがあります。

実務を長く経験して仲介となる業者さんが協力的でない又は知識のない方を多く見てきました。買主となるあなたは、マイホームを購入すると決めたときから司法書士・弁護士・建築士、信頼できる宅地建物取引士等と相談し万全の注意を共に払うべきでしょう。

(8) 相殺による売買

I. 「売買代金と貸金の相殺による売買」

(売主)の不動産売買代金債権と(買主)の売主に対する貸金返還請求権(貸金債権)を相殺することによって、代金の授受に代えて「相殺」によって容易に売買することができます。登記の公示方法(登記原因)は、「年月日相殺による売買」とすることなく単に「年月日売買」となり、登記(公示)からは貸金・借金を精算した事実はわかりません。

 

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2. 商業・法人登記手続

◎下記項目をクリックして開く...

(1)合同会社の設立

1.「設立・維持費用が安い」

(設立時の費用):(実費)登録免許税6万円、定款貼付収入印紙4万円。資本金はいくらでも可。司法書士に依頼すると別途報酬が数万円かかるが、定款を電子定款(CDを提出、電子署名した電磁的記録をオンライン申請など)にすると、定款貼付収入印紙4万円が0円になります。

(会社成立後):役員の任期がないので、変更がない限り役員変更登記が不要。

2.「株主総会、取締役会、監査役が不要」

社員(業務執行社員)1名で可。

3.「出資者の議決権を同一にできる」

例)唯一資金があるAさんが98万円を出資、技術があるBさんが1万円を出資、技術はないが営業力があるCさんが1万円をそれぞれ出資して資本金100万円の合同会社を設立。
ABCはそれぞれ1議決権とすることが原則。利益配当も均等割が可能。

この場合、もし株式会社にすると、Aさんによってすべて決定されてしまいます。

4.「出資者全員が社員であり経営者」

会社の決定は社員全員の賛成が原則。出資金額の少ない社員も排除されない。

5.「利益の配当について純資産額300万円の規制がない」

株式会社の場合、純資産額が300万円を下回る場合は、配当ができない。

6.「合同会社で十分」

現実の実務で、敢えて株式会社にせず合同会社にすることで不利益はあまりありません。まれに、入札資格、銀行融資などで株式会社とは扱いが異なることが一部報告されています。しかし大きな会社が敢えて合同会社とする例も多くあります。

同族経営の資産管理会社などは合同会社で十分とも考えられます。

7.「認知度が低い」

会社といえば株式会社であり、合同会社はあまり知られていません。経営する上で「合同会社では不安」と思われる方は、株式会社を比較検討してみましょう。

上場会社規模の会社が合同会社に組織変更したり、大きな米法人の子会社を国内の合同会社とする例が多くあります。これは計算規則上の理由に因るところが大きいですが、国内資本の合同会社設立も年々増加し2015年で約20,000社(同年の株式会社約90,000社)となっております。

8.「株式会社への組織変更が可能」

合同会社でスタートし、会社規模が大きくなり株式会社が適している状態になれば、組織を変更して株式会社にすることができます。
但し、債権者保護手続等で時間がかかります。

9.「自己持分を取得できません」

合同会社では、株式会社のような自己株式にあたる、出資持分を会社が取得することができません。

10.「退社による持分払い戻しによるリスク」

多額の出資をした社員が退社する場合、持分を時価で払い戻すことが原則であり、会社の経営危機につながるので、定款で別段の定めが必要。

11.「定款の作成が困難」

定款の絶対的記載事項(必須の記載事項)が少なく、ほとんどがフリーハンドなので、会社法を理解していないと株式会社より定款の作成が困難です。設立後の定款変更でもよいでしょうが総社員の同意が原則なので、設立時に当該会社にあった定款の作成をしておく方がよいでしょう。

※以上、合同会社のメリットでありデメリットでもある点の一部ですが、起業される方において合同会社が適しているかの判断は、司法書士・税理士に相談されることが適切です。

(2)一般社団法人の設立(非営利型の公益社団法人を除きます。)

1. 事業に制限がない

公益事業も収益事業も可。サークル・同窓会等の公益事業でもなく収益事業でもないものも可。
 ボランティア活動、同窓会、同業者団体、学会、会員向け事業、地域振興など。

例)公益目的を含んだ「収益事業」を行う一般社団法人
「〇〇地域における生涯教育・生涯就労をするための講座・研修事業の開催、コンサルティング及び出版・教材の販売」など

2. 許認可が不要

3. 資本金が不要

4. 社員2人で可。(設立時のみ)

5. 株式会社における株主に対する利益の配当に準ずる制度がない

6. 役員変更登記が2年に1回必要。(理事の任期が2年又は1年)

非公開株式会社(株式譲渡制限会社)のように任期伸長の制度がありません。

7. 設立費用が安い。

(設立時の費用):(実費)登録免許税6万円。定款認証約53,000円。法人登記簿謄本と代表理事の印鑑証明書印紙代必要通数分。代表理事の法務局届出印鑑オーダー。
(司法書士報酬)約5万円。

(3)役員変更、取締役会・監査役の廃止など機関構成の整理、定款変更

増資、有限会社から株式会社への変更
合併、会社分割、組織変更
種類株式発行

(4)会社の売買(株式の売却・買収)

合併などの複雑な企業再編方法を利用せずに、株式を売却・買収することで会社の処分・買収が実現します。

直近の決算書・売却直前の試算表をもとに株価を決定し、株式全部の売買を実行します。売却会社の有する債権・債務(特に簿外債務等)、許認可の引き継ぎ等の事前の確認と契約条項にきっちり盛り込むことが重要です。

中小会社(株式譲渡制限会社)間を例にすると、両当事会社で次の様な決議が必要になります。

●株式売買につき取締役会決議(または取締役の過半数の一致)、株主総会の承認決議

●株式譲渡会社の役員変更決議にて、売却会社の役員が退任し、買収会社側の役員を新たに選任・就任します。

●買収会社においては、多くの場合、本店(本社)移転、商号(社名)変更、事業目的の変更等が発生するので、定款変更決議をします。

※株価の決定方法、課税リスク、特別な契約条項の定め(債権債務の引き継ぎ等)税理士・弁護士の関与がないと難しい場合があります。
登記の数が多いので(商号変更、目的変更、類似商号調査、本店移転、役員変更など)司法書士に相談しましょう。

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3. 民事信託(家族信託)登記

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(1) 民事信託の利用例(遺言・成年後見との比較・併用)

I. 家族信託のいちばんの典型例として
「実家の財産管理・売却(空き家対策)、認知症対策、親の生活費捻出」

成年後見制度では、家庭裁判所の監督下で被後見人等の財産を守ることが目的なので、資産の活用や相続税対策は困難。信託を利用すると高齢の親(例えば残された母)の財産管理、母の認知症対策として、認知証の母の自宅を売却・賃貸等して母の生活費・介護費にあてられます。後見制度では家庭裁判所の審判によりますので自宅の売却は困難です。

当事者として(委託者兼受益者):母、(受託者=管理・処分する人):長女、(受益者代理人):二女など他の兄弟姉妹、必要に応じて信託監督人を親族か専門的第三者などを設定する。

II. 「親の家(土地・建物)を空き家にしない為」

実家に住む父または母が、認知症等になった場合、その不動産を売却したり賃貸することが困難になります。後見制度の場合、家庭裁判所の審判が必要になり、売却等の処分ができないこともあり、介護費用の捻出ができないこともあります。

この様な場合、民事信託を利用すると実家の処分ができるようになります。

高齢の父を委託者、管理する人=受託者を長男とし、父は引き続き実家に居住し、将来判断能力が不十分になって施設に入居となったら、長男は、当該不動産を売買・賃貸等の処分をすることができます。売却代金や賃料は父の口座(信託口座)に入ります。

認知症対策と実家の空き家対策、更に、父の財産管理、介護費用捻出が容易になります。

III. 「相続手続を介さずに残された妻名義に」

夫の死後、居住用不動産を遺産分割せずに(相続手続・売却をせずに)残された妻単独の名義にする方法として信託があります。

夫は、信頼できる子等(例えば長女)に居住用不動産を信託を原因として長女に移転登記し、その不動産を管理してもらい、夫は引続きその不動産に居住できます。

夫の死後、すぐ妻名義することができます。但し、子供の遺留分に留意が必要です。

夫を(委託者兼当初受益者)、長女を(受託者)、妻を(二次受益者)という信託契約です。

IV. 「遺言ではできないことの実現」例)夫⇒後妻⇒実子

夫の死後は、再婚の妻へ全財産を、その妻の死後は、夫の前妻の実子へとする場合、通常の相続・遺言では、その妻へ相続されてもその後、その妻の死後、妻の兄弟姉妹又は再婚相手に相続されることが多いでしょう。妻が夫の前妻の子に遺言をする又はその子と養子縁組をすることはあまり想定されません。

信託を利用すれば夫⇒後妻⇒前妻との子(実子)とすることが可能となります。(委託者兼当初受益者)夫、(受託者)夫の親族など、(二次受益者)後妻、(残余帰属権利者)実子という信託契約です。

V. 「後見(法定後見、任意後見)、遺言が困難な場合」
   例)親亡きあとの障がいの子の生活確保

子において法定後見の適用がない又は困難な場合。任意後見が妥当しない場合。子供の遺言能力に問題がある場合。信託によれば、親の死亡後、親の財産の承継と子の財産管理・生活費の確保等を親の信頼できる人に託すことが可能です。

(委託者兼当初受益者)母、(受託者)母の親族など、(二次受益者)子、(残余帰属権利者)福祉施設など、(受益者代理人)母の親族、専門家などという信託契約です。

VI. 「財産管理、認知症対策、相続税対策」

成年後見制度では、家庭裁判所の監督下で被後見人等の財産を守ることが目的なので、資産の活用や相続税対策は困難。信託を利用すると高齢の親(例えば残された母)の財産管理、母の認知症対策、母の資産の活用や相続税対策が可能。

(委託者兼受益者)母、(受託者)長女、(受益者代理人)母の信頼する親族・専門家等

「家族信託のデメリット」

約2年間の実務及び研修を通じて、デメリットはあまり想定されませんが次のようなことがあげられます:

  1. 受託者による信託財産の消費
    但し、成年後見人のように7割が赤の他人である弁護士や司法書士であ るのに対し但し、家族信託は、ほとんど最も信頼できる親族から受託者を設定しています。
    更に、受託者を受益者とともに監督する立場である信託監督人や受益者代理人を選任してお互いに連携・監督することで更に安全・安心な家族信託とすることもできます。
  2. 身上監護はできない
    介護や医療に関する身上配慮などのケアはできません。
    但し、判断能力の衰えた方、障害をお持ちの方のご家族は、当然にこれら身上監護を行っているのが現状です。
  3. 「損益通算」「事業承継税制」が適用できない
    税制上のデメリットでこれらのケースは賃貸物件の複数所有者、会社経営者に該当する場合です。ご相談者の多くは、実家の親の認知症対策・空き家対策です。親の財産の一部から将来、処分困難な実家や金融資産を抽出し、処分権限を家族・親族の一部に管理・処分を委ねて、信託が開始しても、今までと何ら生活は変わりません。

◆ 家族信託について 業務の流れ ◆

  1. 家族信託の概要及び成年後見制度(任意後見契約を含む)との比較を含めてご説明
  2. 各ご家庭に合った信託プランのご提示、代表者様との面談、家族会議への出席、信託契約書原案のご提案
  3. 不動産信託契約書(不動産登記の添付書面となります。)の作成
    原則、公正証書となります。
  4. 不動産信託登記の申請(司法書士・弁護士以外は行えません。)
  5. 信託設定後のフォロー

以上をすべて司法書士の私が行います。必要に応じて私が所属する一般社団法人家族信託普及協会(※私は協会にて「家族信託コーディネーター」の30時間の講習と年間数回の定期研修を受講しています。)から指導を仰ぐこともできます。

4. 相談業務

◎下記項目をクリックして開く...

司法書士法の範囲内の相談及び回答となりますが、他の法律で制限されていること(弁護士法・税理士法などの分野)もお話ししないと相談が成り立ちませんので当該分野についても概要はお話しします。
回答できない分野に関しては、提携の弁護士・税理士、各分野の専門司法書士(少額訴訟・成年後見など)、または相談機関(団体)をご紹介致します。
※登記をご依頼される場合相談料は別途かかりません。

(1)登記相談

法務局での登記相談が盛況のようです。法務局に行くたびに相談者が並んでいます。
司法書士は弁護士(弁護士会による弁護士自治)と違い、法務省(正確には事務所所在地を管轄する法務局または地方法務局)の監督下にありますが、批判を恐れずに、「司法書士(当事務所を含みます。)の登記相談」と「法務局の登記相談」の違いを簡単に見てみましょう。

「司法書士の登記相談」と「法務局の登記相談」の違い -その1-

a.司法書士(当事務所を含む)の登記相談

相続税、贈与税、譲渡所得税・住民税、固定資産税、不動産取得税などの一切の税金について、相続・贈与・売買・交換・信託・財産分与・代物弁済・時効取得・解除などあらゆる法律行為、事実行為に発生する可能性のある税を考慮したご相談対応をしています。 税金を考慮しない「登記相談」は専門職としては許されない!ということです。司法書士が税金を考慮しないで登記を実行したことにより依頼者に多大な損害を与えた場合、損害賠償責任を負う可能性があります。

*税金相談は、税理士法に反する場合があるので、登記する時に知っておくべき税金の最低限のご説明に限定します。必要に応じ、別途税理士さんにその場で、若しくは後日正確な回答をお願いしています。

b.法務局の登記相談

税務署ではないので当然税金の相談には応じていません。(応じられません。)登記に必要な書類と申請書の記載方法の説明のみなので、法務局の回答により登記を実行したときのあらゆる課税リスク(思わぬ税金の負担)は相談に行った人の自己責任となります。

例えば)

・相続について、提供されたモデル文例により登記を実行したところ「配偶者の特例」、「小規模宅地の特例」、「将来の二次相続対策」、「居住用不動産売却時の譲渡所得税の控除」が適用できなかった、「家族信託の設計」が税金上できなかったなどなど。

・贈与について「配偶者控除」を利用できなかった、「相続時精算課税」が利用できなかった、「障害の子への非課税贈与信託」が利用できなかったなど。

・ほとんどの名義変更に課税されることになる「不動産取得税(地方税)」がこんなにかかるなら登記しなかった。

・名義の共有持分をよく考慮しなかったので贈与税がかかってしまった。

・交換差益を考慮しなかったので、贈与税がかかってしまった。

法務局では、登記にかかる「登録免許税」以外に税金を配慮した相談は一切ありません。

以上、税金を考慮しない登記相談は、場合により結構なリスクがあることがあります。事案により専門職(税理士・司法書士・弁護士等)の相談利用が妥当なのかはご自身の判断になりますが、十分に検討して利用すべきでしょう。

同様に、税務署の税金相談では、登記に関する相談は一切行っていないということは言うまでもありません。

5. 家庭裁判所提出書類の作成・提出手続

遺産分割調停、遺言書検認、後見・特別代理人選任等の家事事件の申立書作成・提出 (司法書士法第3条第1項第4号及び第5号による業務)
※登記の添付書類として必要になります。

安重泰和
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東京都日野市の司法書士事務所

司法書士 安重泰和事務所

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